現在はスバルと言えば国内のみならず欧米を中心とする世界各国で高い人気を誇る世界的な自動車メーカーへと成長しましたが、およそ30年ほど前は今日のように海外で高い人気を誇るどころか国内でも生産台数が多くなく、経営状態も良いとは言えないものでした。
そこで、社運を賭けて新たな経営戦略と共に取り扱い車種の中に投入したのがレガシィであり、結果的にスバルの経営状態をV字回復させただけではなく、他社も含めた全ての自動車メーカーを巻き込んだ新たなるブームを巻き起こす火付け役になりました。
レガシィツーリングワゴンのSTIモデルの誕生まで
発生した新たなるブームというツーリングワゴンという車種の躍進であり、基本的にはこれまで存在していたバンに快適装備と高い走行性能を持たせたという様子なのですが、セダンとワゴン車の中間に位置する新しいカテゴリであるが故に、ワゴンのようにたくさんの荷物を積みたいものの、運転し車両を操縦する楽しさも捨てがたいというユーザーに大ヒットします。
そうした操縦する楽しさを補うために、スバルを中心として各社がライバル達よりも一歩抜きん出た存在になるべく尽力していたのが、大きな車体でも力不足を感じないパワフルなエンジンとアクティブな走行にも耐えられるボディ剛性や足回りの強化です。
そのため、外見上はバンでありながらも持ち合わせているポテンシャルはスポーツカーと同等であり、ツーリングワゴンが次第に成熟期を迎えた頃にはハイパフォーマンススポーツカーと同じように280馬力を出す事ができる車両も登場し、ツーリングワゴンと共にスポーツワゴンという名称でも呼ばれるようになります。
そのように他社も含めたステーションワゴンのブームは非常に熱を帯びていたのですが、結果的にスバルのレガシィの牙城を崩す事ができず次々とステーションワゴンを投入していた自動車メーカーは開発を終了させ、取扱車種の一覧から次々と姿を消す事になりました。
各社が開発資金の大部分を投じて牙城を崩そうと奮闘したのにも関わらず結果としてスバルの一人勝ちになったのは、レガシィに与えられたSTIモデルが影響しています。
STIというのはスバルが手掛けている車両の中でも並々ならぬ思い入れを有している車両に対して与えられる勲章のようなものであり、スバルが持っている技術を余す所なく全て注ぎ込んでいる最高レベルのモデルです。
スバルの場合STIという名称が用いられるのは、当初は主にインプレッサというラリーレースなどで大活躍しているスポーツセダンに対してなのですが、他社が自社のスポーツカーのエンジンなどを改良してステーションワゴンに移植していた際、レガシィにはインプレッサで培った技術とノウハウが詰め込まれSTIというモデルを生み出しました。
レガシィツーリングワゴンのSTIモデルのスペックとは!
スバルと言えば他の自動車メーカーが持っていない水平対向エンジンを持っているという強みがありますが、レガシィのボンネットにも当然の事ながら水平対向エンジンを詰め込み、低速では腰が力強く押されるようなトルクが感じられる上にピストンが高回転する高速走行時には非常にレスポンスが速く、ドライバーの操作がクイックに感じられるシステムが構築されています。
さらに、スバル車に見られる特徴と言えばボンネットに大きく空いたエアインテークであり、大きくせり出すように空いているエアインテークから外気を取り込む事によって、一度排出した排出ガスを一旦車両の前部にて冷やし、再度エンジンに圧縮した上で戻す事で排気量を倍にさせるというターボの恩恵に授かれます。
もちろん、他社もターボの技術は後を追うようにして搭載させたのですが、STIモデルの性能に近づく事ができなかったのは最も基礎的なエンジンの性能が全く異なるためです。
搭載されているエンジンはおよそ30年前から変わらず現代も使われ続けているEJ20という水平対向エンジンなのですが、通常の自動車に採用されているエンジンのピストンに比べピストンが動くストロークの長さが著しく短いという強みがあります。
エンジンの仕組みはピストンが動く事で新鮮な空気を取り込み、もう一度ピストンが押し込むようにして動いた時にガソリンと混ざり合い、爆発をさせて前進させるためのエネルギーに変換するというものなので、空気を吸い込みもう一度押し込むという動作が俊敏に行われる程爆発する回数は多くなり、前進するスピードと反応は早くなります。
そのようなストロークの短さという根本的な点で一般的なエンジンとは一線を画していたため、他社がスポーツカーのエンジンにターボを搭載させても太刀打ちできませんでした。
レガシィツーリングワゴンのSTIモデルの凄いとされる理由(まとめ)
現代ではかつてのツーリングワゴンのブームは去ってしまいましたが、相変わらずレガシィの中でSTIモデルが支持されているのは、余裕のあるポテンシャルで長距離を移動しても疲れにくい上に、万が一の事態に見舞われてしまったとしても身の安全を確保する事ができるためであり、メーカーとしても安全性は歴史ある特別な勲章を授ける新たなる指針としています。
つまりは単に早いカッコいいだけのチュ-ンモデルではなく、同時に機能性や快適性、安全性などをト-タル的に高めた車作りをしているメ-カ-ということになります。オ-ナ-の車への思いを含め、最高の車づくりをしているからこそ、レガシィツーリングワゴンのSTIモデルが多くのオ-ナ-に支持され今なお人気をしていている理由なのではないでしょうか。