スバルレガシィには、通常モデルとツーリングワゴンタイプのラインナップがあります。
後者は現在までに5つの世代が販売されていて、いずれも特徴や変化を併せ持っています。スバルレガシィツーリングワゴンの歴代モデルから評価を検証していきたいと思います。但し最新のレガシィには、ツーリングワゴンのモデルはなく、SUVタイプのアウトバックがそれに代わるものとなっています。
スバルレガシィツーリングワゴンの歴史を紐解く!
初代が販売されたのは1989年のことで、先代レオ-ネの名前を引き継ぐモデルとして、これが同ブランドとモデルの顔となります。
FFモデル、4WDモデルで驚きを与えますが、水平対向エンジン(近年まで使用されていたEJ20形式)やターボの搭載、サスペンションにはエアサスを搭載したモデルもあったなど、スバルらしいステーションワゴンとして評価を獲得します。
2代目のレガシィツーリングワゴンは、1993年に販売されているので、モデルチェンジは早かったといえるでしょう。
ミドルクラスのサイズアップが進む中、スバルは5ナンバーを維持してボディサイズの変更を拒否しています。またエンジンも2L以下というのも守られてきました。
進化において選択したのは、水平対向ターボの性能向上(今頃からシ-ケンシャルツインタ-ボ化)インタ-ク-ラ-の空冷式化と、3ナンバークラスの車に劣らない走りの良さで好評を得ていました。
目指した方向性は間違っていなかったようで、メーカーの狙い通りの進化を遂げたと、市場からも評価されることになります。
1998年に登場した3代目も、基本的なデザインは初代や先代を引き継いでいて、更にレガシイツーリングワゴンらしさが見た目に表れています。
この3代目はフルモデルチェンジが行われていて、開発コンセプトが「レガシィを極める」と言ったとおり、エンジン性能や衝突安全性能の大幅な向上を果たします。
3Lの6気筒水平対向エンジンを搭載するモデルも登場しており、メーカーが目指す方向性がより一段と明確化になります。
サイズは5ナンバーを踏襲していますが、性能面は上位グレードに劣らないばかりか、5ナンバーの枠を超える位になったほどです。
市場での評価は更に高まりを見せて、ブランドのイメージが定着化したり、強固なブランド力を持つまでに至ります。
性能面が注目を集めるモデルですが、レガシィに刷新された衝突安全性能もまた、見逃せない進化のポイントです。
衝突安全性能は、車体のシャーシレベルで見直しが行われ、新開発された物を採用しています。
しかも、ラインナップにポルシェがデザイン監修した限定モデル(BLITZENブリッツェン)も加えたことから、話題が話題を呼んで人気が高まります。
ワゴンにおける世界最速記録も打ち立てているので、レガシイにとって3代目は大きな意味を持つといえます。
ちょうどこの2代目3代目あたりで、「レガシィツーリングワゴンブ-ム」がおとずれています。デ-トカ-としても「レガシィツーリングワゴン」の名前があがるくらいで、レガシィという名前のブランドがハッキリとこのころに確立しました。
4代目はついに5ナンバーを捨てて、3ナンバーの道を歩み始める道を選びます。
サイズは全長が約4700mm、全幅約1700mmに全高約1500mmと、大幅なスケールアップを達成します。
進化したツーリングワゴンが手にしたのは、水平対向エンジンの強化とラインナップの増加、それに居住性の改善結果です。
従来の車内スペースに不満を感じていた人達からは、前向きに評価されて3ナンバー化が受け入れられます。
安全性能の強化の面からも、サイズアップしてボディの厚みを増す必要もありましたので、3ナンバ-化は不可欠なものでした。
逆に、低音に特徴のあるエンジン音は聞けなくなっているので、あの独特の音を楽しみたいドライバーからは残念がられています。あれは、不等長のエキマニの為あの音が出ていたのですが、等長になったことで音が静かになりました。環境を思えばやむを得ないことですよね。
しかし、サイズアップしても軽量化を推し進めて先代よりも軽量化していますから、燃費が向上するという嬉しい結果が表れます。それは燃費が悪くみられがちなレガシィにとっては、重要なプラス要因です。
走りの良さは、先代からそれ以降に受け継がれてきたものなので、軽量化や大きなモデルチェンジが行われていても健在です。
マニュアルモデルには6速のミッション設定もあり、マニュアル車が好きな走りを好むオ-ナ-から「最強のレガシィワゴン」が登場したとの噂もあったとか。
5代目となる最終モデルの2009年バージョンは、実に20年の時を経て現代に到達した、レガシイツーリングワゴンの進化系です。
スバルが目指し消費者のニーズに応え続けた結果が、2009年モデルによって表わされていると考えられます。
肝心の注目点は、グランドツーリングを念頭に置いて開発された、北米市場をターゲットとした居住性です。
北米車は総じてボディサイズが大きい傾向なので、スバルはこれに合わせてサイズアップを図ります。
日本市場がターゲットの中心ではないものの、結果として快適性が増して乗り心地や使い勝手が良くなったと、国内でも高い評価を得ています。
居住性を確保する目的通り、ボディサイズは先代以上に大きくなって見た目の印象も変わります。
大型化した外観はレガシイらしさが薄れたので、代々のツーリングワゴンを愛用していた人達にとっては、ブランドイメージががらりと変わったモデルです。
一番の変更点の居住性は、余裕を持って車中泊が行える位に向上しています。
エンジンにはDOHCターボとSOHCNAの2種類が用意され、クレードルフレーム採用のパワーユニットが搭載されます。
新フレームの開発と採用によって、振動は抑制され衝突安全性能のアップも実現します。
走行面では3種類の走行モードが選べる、SIドライブシステムが新装備となります。
全般的に性能向上を果たし進化しているモデルですから、同ブランドの名前に恥じない変化で、評価も変化の内容に見合うものとなっているでしょう。
スバルレガシィツーリングワゴンの今後は?
レガシィツーリングワゴンの進化の歴史やブランドの方向性は、2014年に登場したレヴォーグの方に引き継がれていきます。
大型化したボディは全面的に見直され、日本市場に合わせて専用モデルを用意しているのが特徴です。
歴代のモデルと同じく、エンジンの改良も行われていますし、安全性能も進化しており後継に相応しい機能性や性能が並びます。
デザインは時代に合うように変えられていますが、ステーションワゴンとしての面影はあるので、ブランドが変わっても旧ブランドの魂は残ります。
しかし今後レガシィがモデルチェンジをしても「ツーリングワゴン」のタイプはもう出て来ないのでしょうか?レガシィツーリングワゴンとしての評価は今まで決して悪いものではありません。なぜか時代とともに需要が変わってきてしまったのでしょうか。
新しいモデルのアセントもいずれ国内に登場するでしょうから、レガシィツーリングワゴンのブ-ム再来は少し先の話になるのでしょう。
もともとのオ-ナ-であったものからしてみると、やはりレヴォ-グではなくレガシィのツーリングワゴンがあってほしいものです。